2:糖尿病は膵臓がんのハイリスク(高危険)群です。
 
1位
2位
3位
4位
5位
 
男性
肝臓
結腸
膵臓
結腸と直腸を合わせた大腸は4位
女性
結腸
肝臓
乳房
結腸と直腸を合わせた大腸は1位
肝臓
結腸
膵臓
結腸と直腸を合わせた大腸は3位

本邦の膵臓がんの年間死亡者数は約2万人です。膵臓がんは早期発見が困難で、外科的手術が可能な症例が限られており多くが不幸な結果となります。21世紀に残された「難治がん」の1つと言われています。治療成績を上げるためには無症状の小さな膵臓がんをいかに早く拾い上げ、診断するかが鍵となります。

近年、わが国で激増している糖尿病ですが、膵臓がんの多くが糖尿病を合併していることが以前から知られています。膵癌登録調査では膵がん患者さんの約20%が既往歴に糖尿病を有していました。またJACCコホート調査では糖尿病歴の膵臓がん危険率は男性で2.1倍、女性で2.5倍と報告されています。

小生が勤務医をしていた頃にも多くの膵臓がん患者さんを自分で、あるいは消化器科グループで担当致しておりました。開業医などで糖尿病として治療を受けている患者さんが『最近具合が悪く、痩せてきた』と依頼を受け、実は膵臓がんと診断されるケースが多々有りました。かなり進行している場合が多く、抗癌剤を使う間も無く亡くなられる場合もしばしばでした。多くの場合、血糖値とHbA1c(グリコヘモグロビン)などは定期的に検査されていますが、腹部超音波検査や腹部CT検査などの画像検査がいっさいなされていません
後から「もし・・・していたら」と言ってはいけませんが、あるいは最初の時点でちゃんと画像検査を受けていた場合、不幸な結末は違っていた「かも」しれません。

当院では糖尿病の患者さんへ積極的に腹部超音波検査をお勧めしております新診療所への建て替え時に診断能力の向上の為、総合病院並の高性能超音波機器を導入致しました。時間も10分〜15分程度かけてじっくりと内臓を観察致します。検査術者の腕にも左右されますが、10mm前後の小さな膵臓がんの検出能力でいえば(肥満の強い方、ガスの溜まりがちの方は除く)腹部CTよりも上だと思います。糖尿病を診断されてから、一度も超音波検査を受けられた事の無い患者さんは、ぜひぜひ一度検査を受けて下さい。



戻る  ホームページへ